次男(小3)に吃音の症状が出たときの話
次男(小3)が幼稚園に通っていたころの話。
入園してしばらくしたころ、突然どもるようになった。
「あ、あ、あ、あ、あのね、き、き、き、きょうの、お、お、お、べんとうね…」
山下清画伯のような感じの「くりかえし」もしくは「連発」と言われる種類の吃音だった。びっくりしたわたしはつい、「ゆっくり話してごらん」と言ってしまった。次男はちょっとだけ悲しそうな顔をしていた。
すぐに幼稚園の先生に相談した。
「もう少し様子をみましょう」
「お母さんもあまり気にしすぎないようにね」
「続くようであれば、また考えましょう」
幼稚園でも時々どもることはあるけれど、いつもではないこと。今、ちょっと苦手な子との関わりで困っているように見えるので、もしかしたらそういうことも関係があるかもしれないこと。そして、「お家でゆっくり過ごせるようにしてあげてください」とアドバイスされた。
吃音への対応で気をつけたこと
先生からのアドバイスと、インターネットから得た情報から、次男の吃音への対応で気をつけたことは、だいたい以下の3つ。
- 吃音について触れない
- 次男のペースに合わせる
- スキンシップを増やす
吃音について触れない
「ゆっくり話してごらん」と言ったときの、次男の傷ついた顔をみて、吃音について触れないほうがいいんだなと思った。次男は別に急いで話そうとしていたわけではないし、うまく言葉が出ないから「ゆっくり話せ」と言われても、悲しい気持ちになるだけだ。
幼稚園では友達や、友達のお母さんに言われることがあるかもしれない。それはある程度仕方ないにしても、家では「吃音について触れない」と決めた。
具体的には、次男がどんなにどもったとしても、彼が言わんとするところは理解できるので、それに対して返事をするようにした。そして、話を聞くときは目線を合わせるように気をつけた。当たり前のようだけど、子供の目線に合わせて話を聞くというのは、なかなか大変だ。でも、「ちゃんと聞いてるよ、あなたの話はちゃんと伝わっているよ」ということを、てっとりばやく伝えるには、それが一番いいと思った。
次男のペースに合わせる
2つ年上の長男がいると、どうしてもそちらのペースに合わせた生活になりがちだ。幼稚園では自分より成長の早い子供たちに囲まれ、家では何をやっても勝てない兄と過ごす。自分より年上の子供たちと過ごすことは、いいこともたくさんある。でも、それと同じくらい疲れることもあるんだろうなぁと思った。
具体的にしたことなんてたいしたことはない。わたしが、わたしの意識を変えただけ。長男と同じように行動できるからといって、「ついてくるのが当たり前」と思わないこと。次男には次男のペースがあること。そういうことを常に意識するようになった。
そして、時々、次男と2人だけで過ごす時間を作るようにした。散歩をしたり、大好きなドーナツを食べに行ったり、次男がしたいことを思いきり楽しめるような時間を作った。
スキンシップを増やす
それまでも抱っこしたり、お膝の上に乗せたり、わりとスキンシップは多いほうだと思っていた。でもやっぱり、幼稚園に入って母親から離れて過ごすようになって、不安や緊張でいっぱいなときは、もっともっと甘えたいんだろうな。そう思って、意識的にスキンシップを増やした。
話を聞くときに背中に手をおいてさすったり、頭をなでたり、手をつないだり、ぎゅうっとしたり。「甘えたいだけ、甘えさせた」といいたいところだけど、長男の手前そこまではなかなかできず…。それでも、できるだけスキンシップをとるように心がけた。もちろん、長男にも。
その後の経過
そうやって過ごしているうちに、だんだんとどもることが少なくなっていって、1ヶ月ほどでだいぶ落ち着いた。それからはほとんど気になることはなかったけれど、年長の2月頃、もうすぐ卒園・入学というときになって、またどもるようになった。
このときは、明らかに目の前にせまった「小学校入学への不安と緊張」が原因だろうと思った。おそらく一過性のものだろう…と思いつつ、先生と相談しながら様子を見守っていたら、卒園する頃にはパタっとおさまった。このときのことを覚えている?と聞いてみると、次男はこんな風に答えてくれた。
「覚えてるよ。あのときは『あ、また上手く言えなくなっちゃったな』と思ったけど、全然気にならなかった」
全然気にならなかったという言葉を聞いて、心からホッとした。そのときのことが、嫌な思い出として残っていなくて本当によかった。
次男の感じを見ていると、大きなストレスや緊張を感じたときに、言葉に影響が出やすいのかもしれないと思う。ひょっとしたら、これから先もまた同じような症状が出るかもしれない。でもまあ、そのときの心配は、そのときのわたしたちに任せるとしよう。大事なことさえ忘れなければ、なんとかなるさと思っている。
たとえどもったとしても、次男は次男。大切な存在であることにかわりはない。わたしが今できることは、それを伝え続けることだろうなと思う。
おわりに
ここに書いたのはあくまでも次男のケースであって、誰にでも当てはまるわけではありません。こんなケースもあるんだな、という程度に受け止めてもらえたらと思います。
最後に、同じような悩みを持つ方のために、いくつかリンクを貼っておきます。
▽これを読むとわたしの対応はあながち間違いじゃなかったのかなと思えました
▽ちょっと古い記事だけど
でもやっぱり、心配ならば自治体の保健師さんに相談したり、日本言語聴覚士協会のサイトから言語聴覚士のいる施設を調べて相談したりすることをおすすめします。
▽日本言語聴覚士協会の公式サイト
大切なのは、1人で悩まずに相談することだと思う。
おしまい。