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がんばる小学生

サッカー少年の家庭学習と本の記録

【絵本レビュー】「かあさんをまつふゆ」ジャクリーン・ウッドソン/E.B.ルイス/さくまゆみこ/光村教育図書

かあさんをまつふゆ

図書館で本を探すとき、そのほとんどは棚差しなので背表紙からの情報が「手に取るかどうか」の決め手となる。背表紙を見るときにわたしが気にしているポイントは以下の3つ!

  • タイトル名
  • 作者
  • 装丁

今回は3つ目の「装丁」が気になって手に取った「かあさんをまつふゆ」を紹介しようと思う。

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印象的な少女の横顔に惹かれた

背表紙から得られる情報は少ないようでとても多い。タイトル、作者名、出版社名…そして装丁。

「かあさんをまつふゆ」を手に取った理由は、表紙にもなっている少女の印象的な表情が、背表紙にもちらりと描かれていたから。これがなかったら、手に取ろうと思わなかったかもしれない。棚から取り出したときの気持ちは「あたりだ!」だった。表紙の絵の美しさとすっきりとしたデザインをみて、きっといい本だと思った。根拠は…ない(笑)

ストーリーはしみじみとあたたかい

「ねえ、エイダ・ルース、シカゴでは、こくじんの 女でも やとってくれるんですって。せんそうが あって、男たちが みんな たたかいに出ていってしまったからよ」

お母さんが遠くシカゴまで働きに行くことになり、主人公の少女エイダ・ルースはおばあちゃんと2人で留守番をすることになった。

おばあちゃんから「なんどもてがみを出してごらん」と言われて、せっせと手紙を書くエイダ・ルース。迷い込んできた子猫をかわいがり、その温もりに心をよせていくエイダ・ルースに、おばあちゃんは「ネコなんか かえないんだよ」といいつつ家の中にいれミルクを与える。外は雪が降り積もり、寒さとひもじさの中、ひたすらお母さんの帰りを待つ。

そんなある日、郵便屋さんがうれしいうれしい手紙を届けてくれた。

少女の心情を表すような光の陰影がとても美しい

人種差別や戦争、そして降り積もる雪に閉ざされていく閉塞感があいまって、全体的には重たいお話ではあるけれど。E.B.ルイスの美しい絵がすべてをあたたかく、でもひとつもごまかさずに包み込む。わたしは絵に詳しいわけじゃないけれど、エイダ・ルースの心をうつしだすような光の陰影に、E.B.ルイスのやさしいまなざしを感じる。

特に、お母さんからの手紙を受け取ったときのエイダ・ルースとおばあちゃんの笑顔がとてもいい。

おわりに

今のようにLINEやメール、ビデオ通話のようなものがない時代。いつ帰ってくるのか、元気にしているのかさえわからないお母さん(おそらくお父さんのことも)を待つ子供の気持ちを思うと、胸がつまる。と同時に、そんな親子関係であること、厳しくもやさしいおばあちゃんがそばにいることに羨ましさもある。

「エイダ・ルース、せかいじゅうの なによりも あんたが 大すき。わかってる?」

「うん。雨よりも 大すきなんでしょ」わたしは つぶやいた。

「雨よりも ゆきよりも 大すきよ」かあさんが ささやいた。

いいなぁ。こういうやりとりができて。もし、子供たちがまだ小さかったら、こんな風に決まったやりとりをとおして「大切だよ」「大好きだよ」って伝えたかったなと思う。