絵本で振り返る4年間〜子どもたちに読み聞かせてきた絵本50冊〜
わたしは本全般が好きではあるけれど、やっぱり絵本と児童書ほど好きなものはないかもしれないなぁと最近感じ始めている。とはいえ、ただ好きというだけなので、わたしに言えるのは、自分なりの感想とか、子どもの反応くらい。たいしたことは書けない、とはじめに断っておいたうえで…。
はてなブログが今年で4周年とのこと。4年前といえば、長男が小1、次男は年中。仕事を始めた年でもある。この4年も、つねになんらかの形で絵本がそばにあった。子どもたちが成長するにつれ、読む絵本の数や時間は減っているかもしれない。でも、時々本棚の前に座って静かに絵本を広げている我が子をみると、やっぱりまだまだ絵本は必要だなと感じる。
今回は、いわせんさんの記事への私信もかねて、わたしが自分の子どもたちや、子どもたちのクラスの子どもたちに読み聞かせてきた絵本で、4年間を振り返ってみようと思う。1年をそれぞれ5冊ずつ、そしてその5冊に入りきれなかった本をあわせた50冊のリストになるので、苦手な方はここでそっ閉じされることをおすすめします。
ということで、
2011年
今の家に引っ越してきた1ヶ月後に起きた震災。停電の中で行われた卒園式と入学式。さまざまな思いとともに、数多くの絵本を読んだ年でもあった。
長男(年長〜小1)
1. ぶたのたね
1年生のはじめての読み聞かせで読んだ絵本。集団への読み聞かせデビューにこの絵本を選んだ理由は、意外性のある話で子どもたちが盛り上がるだろうなと思ったから。おおかみは強いもの、ぶたは弱いもの、本当に?もちろん、子どもたちは大爆笑だった。
2. こすずめのぼうけん
説明がいらないくらい有名な絵本。読み聞かせに向く絵本の条件として、わたしが勝手に思っているのは、声に出して読んでみたときになめらかに読めるかどうかっていうこと。 石井桃子さんの訳文はとても読みやすい。ドキドキするお話を聞くときは子どもたちもドキドキしているので、この本と合わせて読む本は違うテイストのものを選ぶようにしてる。
3. のびろ!レーゴム
あまり知られていない絵本かもしれないけど、わたしはとても気に入っていて、低学年のクラスに入るときは必ず読むようにしている。レーゴムはロボットだけど、ある理由から他のロボットのように戦ったり、合体したりできない。 自分にしかない良いところが必ずあること。短所はときに長所になることを感じることができる絵本。読み聞かせると、笑いのあと、かみしめるような静かな時間がおとずれる。
4. ハンダのびっくりプレゼント
読み聞かせに向いているなぁと感じる絵本のひとつ。低学年では必ず読んでいる。ケニアの女の子が、お友達のところにフルーツを届けるっていうお話なんだけれど、本筋とは別のお話が絵の中で展開されていくのがみどころ。子どもたちがざわざわしてくると、「よし!」と思う。鮮やかな色合いなので遠目がきくのも◎
5. うまやのクリスマス
長男が幼稚園の頃からずっと大好きな絵本。バーバラ・クーニーさんの美しい絵、まついるりこさんが訳するマーガレット・ワイズ・ブラウンの美しい、詩的な言葉。読んでいるわたしも心地よい、大好きな絵本。
次男(年少〜年中)
6. 10ぱんだ
パンダのかわいい、ユーモラスな写真で、数を表した写真絵本。当たり前だけどパンダがどんどん増えていくのがおもしろい。「らくらくきのぼり 1ぱんだ」みたいな、読みやすい簡単な文章なので、子どももいっしょに声を合わせて楽しめる。小学校低学年の読み聞かせでも十分楽しめる。
7. しろくまくんのクリスマス
細部まで描きこまれた美しい絵は、集団への読み聞かせよりも、家でじっくりゆっくり読んであげるのに向いていると思う。クリスマスの時期だけでなく、真夏でも持ってきて「読んで」とせがまれることが多かった絵本。今でも時々開いて読んでいる姿をみかけるから、本当に好きなんだなと思う。
8. めっきらもっきらどおんどん
長谷川摂子さんのリズミカルな文章は読みやすく、読み手ものりやすい。特に「ちんぷくまんぷくあっぺらこのきんぴらこじょんがらぴこたこめっきらもっきらどおんどん」のところは、子どもたちも一緒に楽しく読める。
9. だるまさんが
かがくいさんの絵本の中でも、やっぱりこれが1番人気。赤ちゃん向けの絵本として紹介されることが多いけど、読み聞かせ(低学年)の導入部にはこういう絵本がとても向いている。緊張がとけて、場が和む。ちなみに集団の読み聞かせに使うときには、大型絵本がおすすめ。オリジナルサイズは少し小さいので。
10. ぐるんぱのようちえん
繰り返しの文章が印象的。かわいくてポップな堀内誠一さんの絵と、リズミカルな文章、そして楽しいハッピーエンド。この絵本のいいところはテーマの奥深さにあると思うけれども、子どもたちがそれに気づくのはもう少し先になるだろうな。
2012年
次男が年長になり、幼稚園生活最後の年。しかも小学校ではPTA役員を受けていたので、超多忙な毎日を送っていた。小学校での読み聞かせにもようやく慣れてきた。
長男(小1〜小2)
11. おふろじゃおふろじゃ
おふろじゃおふろじゃ |
絵の雰囲気だけみれば荘厳な古典絵本かと思いきや。見た目とは裏腹なおかしなストーリーがおもしろい。オチもお見事で、読み聞かせでも「おぉぉ!」となった絵本。どうやら絶版らしい。もったいないなぁ。
12. ウラパン・オコサ
数あそびの絵本。クラスに入って読み聞かせするときの、ウォーミングアップにぴったりの1冊。参加型の読み聞かせは緊張をほぐすのにいい。
13. 三びきのこぶた
みなさんご存知の三びきのこぶた。ちゃんと最後におおかみを食べるところまで描かれているほうの、三びきのこぶた。瀬田さんの訳文も読みやすくて好き。
14. ペレのあたらしいふく
ベスコフさんといえば小人の絵本もすてきだけど、うちの子どもたちはこちらが好きだった。ペレがいろんな人の手を借りながらあたらしい服を手に入れるまでの様子を描いた絵本。
15. サリーのこけももつみ
古き良きアメリカ、という雰囲気の絵本。使われている色は紺色一色で地味なんだけど、遠目もきくはっきりとしたタッチの絵なので、クラスでの読み聞かせでも大丈夫。こけももをバケツに入れたときの、ぽりん、ぽろん、ぽるん、という音がとてもいい。
次男(年中〜年長)
16. しろねこしろちゃん
真っ黒なお母さんときょうだいたちの中で1ぴきだけ白いしろちゃん。自分も黒くなりたいと願うしろちゃんの気持ちと、それを受け止めたうえで優しく見守るお母さん。最後はほっとうれしいため息がつけるお話。
17. 三びきのやぎのがらがらどん
何回読んだかなぁ。子どもたちは何回聞いたかなぁ。そらで言えるようになるくらい、繰り返し読んだ。人形劇サークルでもやった思い入れのある作品。
18. はじめてのおつかい
時代は古くても、おつかいへの憧れやドキドキは変わらない。低学年の読み聞かせにもちょうどいいボリューム。冒険的な要素が強いので、こすずめのぼうけん同様、合わせる本は違うテイストのものを選ぶようにしている。
19. 11ぴきのねこ
11ぴきのねこシリーズは子どもたちにとても人気がある。にゃーごにゃごにゃごごろにゃーん、みたいな語呂のいい言葉や言い回しもおもしろいみたい。同シリーズのあほうどりのお話もおもしろい。
20. やまあらしぼうやのクリスマス
キリスト教の園に通っているとクリスマスにはページェント(降誕劇)がある。その様子を描いた絵本。ちょっといじめ描写の度がすぎている印象があるので、学校での読み聞かせには使っていない。でも、次男はとても好きなんだって。実はわたしも子どもの頃から大好きだった絵本。「わたしのこころのほし」というところにグッとくる。
2013年
次男がいよいよ小学校入学。ふたりとも小学生になったことで楽になるかと思いきや、小1って大変だったと思い知った1年。子どもの行き渋りを初体験した年でもある。
長男(小2〜小3)
21. としょかんライオン
読んでいると涙ぐみそうになる本のひとつ。厳格な図書館長とライオンのふれあいももちろんだけれど、マクビーさんの心の動きにも注目したい。
22. きつねのホイティ
スリランカのお話。人間をだましたきつねが、最後には人間に仕返しされるお話だけど、完全にやりこめないところが魅力のひとつ。こてんぱんにやっつけるのもいいけど、こういう話もあっていい。ホイティトイティホイティティという歌が小気味よく、読んでいても楽しい。
23. バナナじけん
高畠さんの絵本の中でも子どもたちにものすごくうけたのがこの本。年度末にいただいた感想でも、「バナナじけんがおもしろかった!」「もう一度読んでほしい!」というありがたい言葉をもらった。
24. きつねにょうぼう
これは本当はクラスに入って集団に向けて読みたい絵本なんだけど、いまだに実現していない。なぜなら、涙なしに読めないから。どうしても、最後のところで涙があふれてしまう。
25. としょかんねずみ
図書館に住んでいるねずみが主人公のお話。誰もがお話をつくる作家になれる。ラストがとてもいい。はっきりとした色使いの絵本は集団への読み聞かせに使いやすい。子どもたちからは「サム、すごい!」という声があがる。
次男(年長〜小1)
26. てぶくろ
人形劇サークルに所属していたころ、羊毛で動物たちの人形を作る担当だったわたし。この絵本にはその思い出がつまっている。「入れて」「どうぞ」の繰り返しなんだけど、そうもいかなくなってきてからの動物たちのセリフが、ユーモラスでいい。
27. かばくん
次男が幼稚園の図書室からしょっちゅう借りてきた絵本のひとつ。実はわたしも子どものころ大好きだった。詩のような文章が、読んでいてとても気持ちいい。次男のために、繰り返し読んだ思い出のある絵本。
28. しりとりのだいすきなおうさま
1年生になってすぐの読み聞かせで読んだ絵本。実際は大型絵本を使った。おいしそうな食べ物がたくさん出てくるところ、わがままな王様が家来たちの作戦にまんまとはまるところではみんな大喜び。
29. おまたせクッキー
読み聞かせのてっぱんと言ってもいいかもしれない。選本に困ったらこれを選べばまちがいないと思う。算数的な楽しみ方をさせたかったら、2年生か3年生で読むのがいいんじゃないかしら。
30. よかったねネッドくん
読み聞かせで使ったのは大型絵本。パーティーに招かれたネッドくんの冒険が奇想天外でいちいちおもしろい。その様子をカラーページとモノクロページの繰り返しで表しているのが印象的。文字数はとっても少ないので、少し長めの本と合わせて読むのにちょうどいい。
2014年
次男がサッカーチームを移籍したため、週末が大忙しになった。移籍のごたごたで精神的にもまいってしまい、ここ最近の中で一番余裕がなかった年かもしれない。
長男(小3〜小4)
31. おじさんのかさ
「あめがふったらポンポロロン あめがふったらピッチャンチャン」お気に入りのかさを広げたことがなかったおじさんのお話。読み聞かせで読まれることが多い絵本。子どもたちも大好きで、何度借りてきたことか。
32. きみの町に星をみているねこはいないかい?
個人的にとても好きな絵本。想像の斜め上をいく展開で、低学年から高学年まで、読み聞かせでも好評だった本。「ほんとうはこういうことかもしれないよ」っていう話といえば、「いぬのおしりのだいじけん」もおもしろい。
33. ねこのくにのおきゃくさま
きつねのホイティと同じ作者さんの絵本。あやしげな表紙なので、もしかしたら子どもが自分で手に取ることがないかもしれない。そんな絵本を見つけて、読み聞かせで読むのも、わたしの楽しみ。この絵本はそんな絵本のひとつ。
34. 雪の写真家ベントレー
1/2成人式をむかえる子どもたちに、生き方のひとつとして紹介したいという思いで読み聞かせた絵本。どちらかというと地味で、静かな展開だけど、たまにはそういう絵本もいい。合わせて読むなら「きらきら」がいい。
35. 時計つくりのジョニー
目標に向かって試行錯誤しながらつきすすむ少年のお話。どんなにバカにされても、たった一人の理解者がいれば勇気をもって前に進むことができる。とても美しい訳文なので、長いけれど読み聞かせしやすい。
次男(小1〜小2)
36. ハンバーグハンバーグ
ハンバーグ大好きなわたしにぴったり!ハンバーグができていく様子を、絶妙な言葉でリズムよく描いている、最高のハンバーグ絵本。クラスの読み聞かせで読んだら、子どもたちが「あ〜ハンバーグ食べたい〜」「今日帰ったらハンバーグにしてって頼もう」って言ってくれた。しめしめ。
37. うみやまがっせん
さるが海に釣り糸をたらしたところから、海のものと、山のものの引っ張りあいがはじまって、最後はストンと落ちがつくお話。長谷川摂子さんの文章は、読みやすいリズムのものが多い。
38. おかえし
引越しの挨拶にいちごを持って行ったきつねに対し、たぬきがお返しを持って行き、お返しのお返し、お返しのお返しのお返し、とヒートアップしていくお返し合戦がおもしろい。「おかえしのおかえしのおかえしのおかえしの…」の連続は読み手泣かせだけど、子どもたちは大喜び。
39. おへんじください
友達からのお返事を待つくろくん。一方、手紙をもらったことがなくて、お返事のよさがわからないとらくん。そんなとらくんに一通の手紙が届き…。このシリーズの中でもわたしはこの「おへんじください」が一番好き。
40. おんちょろきょう
おんちょろきょう |
紙芝居だと「ねずみきょう」という作品がある。最近では紙芝居の方をよく読むけれど絵本もいい。読み聞かせが終わると、「おんちょろちょろ〜おんちょろちょろ〜」って口々に呟き出すのがおもしろい。口に出して言いたくなる言葉ってあるよね。
その他
5冊には入らなかったけれど、50冊には入れておきたい絵本。
41. すてきな三にんぐみ
読みやすい文章がとてもいい。いわずと知れた名作。
42. もりのなか
白黒だとつまらないかなと思いがちだけど、そんなことはない。そのまま白黒の世界を楽しむ子もいれば、自分なりに色をつけて楽しむ子もいるはず。
43. おおかみと七ひきのこやぎ
読み聞かせ後、子どもたちからは「ああ、こわかった」という言葉が聞こえてきた。かわいらしい「おおかみと七ひきのこやぎ」しか知らなかった子はショックかもしれない。グリム童話は奥が深い。
44. おおきなかぶ
この絵本ほど読み聞かせに向いている絵本はないんじゃないかと思うくらい、読みやすい。「うんとこしょ、どっこいしょ、それでもかぶはぬけません」このリズムの小気味良さったらない。
45. かさじぞう
昔話もたくさん読んできた。赤羽末吉さんの絵はとてもいい。味のある絵で、派手さはないけれど、それが昔話の世界観にあっていると思う。
46. だいくとおにろく
これも赤羽末吉さんの絵。だいくとおにろくの話は、子どもたちになぜか大人気。一見、地味そうだし、鬼が怖そうだなぁと思うけれど、だいくと鬼のやりとりはとってもおもしろい。
47. ストライプ
インパクトのあるタイトルと表紙に、子どもたちはまず釘付けになる。絵が苦手だなと思う子も、もしかしたらいるかもしれない。最初は盛り上がる教室が、だんだんシーンと水を打ったようになるのが印象的。
48. おによりつよいおよめさん
夫が買ってきた絵本。次男のクラスで読んだら、なぜか大爆笑だった。そんなに笑うところあるかな?と思うけれど、「おによりつよいおよめさん」というタイトルですでに大爆笑だった。そういうものかもしれない。(お話も、もちろんおもしろい)
49. 富士山にのぼる
富士山に登る様子を美しい写真と、わかりやすい言葉で綴られている一押しの写真絵本。目標に向かって一歩一歩進め!と口でいうより、この絵本を読み聞かせるほうが心にひびく、かもしれない。
50.
よかったら読み聞かせにおすすめの絵本を教えてください。
おわりに
4年前から変わらず続けている、読み聞かせボランティア。集団に向けての読み聞かせは、ずいぶん板についてきたかもしれない。
でも、毎日かかさなかった、寝る前の読み聞かせはずいぶん減ってしまった。その代わり、子どもたちが自分で本を開き、本を楽しむ時間は何倍にも増えた。
長男はもうすぐ11歳。「絵本、読んでほしい?」と聞くと「どっちでもいい」と答えるようになった。あんなに読んで読んでといっていた長男が、「どっちでもいい」っていうようになったんだなぁ。そりゃそうだよな。
きっぱりと「読んでいらない」と言われる前に、読んであげられるうちに、できるだけ読んであげよう。今回この記事をまとめていて、あらためてそう思った。自分で読む楽しみと、誰かに読んでもらう楽しみは、別物だからね。
はてなさん、これがわたしの「4年間で変わったこと、変わらないこと」です。4周年おめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
ということで、今日はおしまい。