家庭学習が大事っていうけど何から始めたらいいの?と聞かれたら、迷わず「音読から」と言いたい。
(2017.4.13更新)
わたしは子供たちが小さい頃、「にほんごであそぼ」という番組が大好きでした。この番組がはじまると手を止めてテレビに釘付けになっていたなぁ。
もう随分前のことになりますが…当時まだ小学校に上がるか上がらないかの次男が、夕方「にほんごであそぼ」をみていたときのこと。通りかかった長男が足をとめて、
「あれ?これ知ってる!え、でもあれ?なんか違う!」
と言いだしました。なんだなんだと見に行ってみると、流れていたのは「ベベンの冬が来た」という曲で…
うなりやベベン『ベベンの冬が来た』 ‐ ニコニコ動画:GINZA
ちなみにこの歌は、高村光太郎の「冬が来た」という詩から、印象的な部分を抜き出して作った曲だそうです。
長男は、
きっぱりと 冬が来た
きりきりと もみ込むやうな冬が来た
冬よ 僕に来い、僕に来い
というところを聴いて、途中がごっそり抜けている!と思ったんだそうです。確かに高村光太郎のほうは、
きつぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になったきりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た冬よ
僕に来い、僕に来い、
僕は冬の力、冬は僕の餌食だしみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た
ですから、ごっそり抜けていると感じるのも当然ですよね。
でも、当時小2だか小3だかの長男が、高村光太郎の「冬が来た」と「ベベンの冬が来た」の違いに気づけたってすごくないですか? 天才?
いえいえ、それにはちゃんと理由があるんです。
陰山メソッド徹底反復「音読プリント」 (教育技術MOOK 陰山メソッド)
- 作者: 陰山英男
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/07
- メディア: ムック
- 購入: 12人 クリック: 42回
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家庭学習(自主学習)に取り組み始めた当初から愛用している、この「音読プリント」の11ページに高村光太郎の「冬が来た」が載っているのです!長男はこの音読プリントを繰り返し繰り返し、暗唱するまで取り組んでいたので、その違いにも気づけたというわけです。
音読の効果はスラスラ読めるようになることだけじゃない
この本には、音読の効果についてこう書いてあります。
音読のメリットは何と言っても、記憶の定着がよくなることです。
教科書に書かれた文字を音に出して読むことで、音を自分の耳で聞きます。
単に音で聞くだけでなく、自分の声を聞きますから、頭に入りやすくなります。学習内容が抜群に記憶に残りやすくなるのです。
これを科学的に実証しているのが、冒頭で紹介した音読プリント内でも言及のある、東北大学の川島隆太先生の著書「自分の脳を自分で育てるーたくましい脳をつくり、じょうずに使う」内で紹介されている脳のデータです。(詳しい内容はここでは割愛します)
わたしはもう10年以上、ヒトの様々な行動や認知、記憶などに関わる脳活動を測定してきました。しかし、音読や単純計算以上に脳を活性化させることには出会ってません。
自分の脳を自分で育てる―たくましい脳をつくり、じょうずに使う (くもんジュニアサイエンス) | 川島 隆太 | 本-通販 | Amazon.co.jp
自分の脳を自分で育てる―たくましい脳をつくり、じょうずに使う (くもんジュニアサイエンス)
- 作者: 川島隆太
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
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ちなみに、この本は小学校高学年の子どもなら読めるような内容なので、親子で読んでみるのもおすすめ。
音読は、ただ声に出して読んでいるだけなのにも関わらず、前頭前野の働きを活性化させるそうです。
前頭前野というのは、記憶や学習をコントロールするところ。
音読をすれば記憶の定着がよくなるというのはそういうわけなんですね。
おすすめは「音読プリント」
音読といえば教科書!先ほど紹介した親野先生の著書では、教科書をよく音読することを推奨されているし、教科書なら教材費もかからないので、いつでも誰でも始めることができます。
もし教科書以外に何か別のものを用意してもいいなぁと思っているなら、おすすめしたいのはやっぱりこれです。
陰山メソッド徹底反復「音読プリント」 (教育技術MOOK 陰山メソッド)
- 作者: 陰山英男
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/07
- メディア: ムック
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もうボロボロですね…。
音読プリントがおすすめな理由はいくつかありますが、まずは安さ。500円(+税)っていう手軽さがいいです。
それから、文章の難易度によって初級・中級上級と分かれているので、自分に合ったレベルの文章を選んで読めるところもいい。
そして何よりもいいのは、自分からはなかなか出会わないような名文ばかりが収録されているところだと思います。収録されているのは、どちらかというと古典的なものが多い。普段触れることなどない漢詩や古文など、中学以降に勉強するような文章も含まれています。
まだ頭がやわらかい時期に、「変な言葉〜」という感覚でもいいから、読み慣れておくこと。知っていること。そういう経験が、次なる学習へのきっかけになることもあるし、自信につながることもあるんですよね。
音読カードで目に見える化する
家庭学習で取り組むようなドリルや通信教材、自主学習ノートなどは、やったらやった分だけ目に見える成果が残ります。
それに比べて音読は、ただ声に出して読むだけなので「やった感」が残らない。やっぱり「自分はこれだけがんばったんだ!」と思える方が、子どものやる気って出てくるものなんですよね〜。特に低学年のころは。
そこでおすすめしたいのが、「音読カードでがんばりを目に見える化する」こと。
音読カードを無料でダウンロードできるサイトもいろいろあるのですが、その中でもわたしがおすすめしたいのは、光文書院さんの音読カードです。いろんなパターンの音読カードがあるので、お子さんに合ったものを選んでみてくださいね。
まとめ
たかが音読、されど音読。
音読なら5分でできます。学校へ行く前に毎日5分でも音読すれば、毎週25分、家庭学習の時間が増えることになる。1ヶ月続ければ、100分以上!
家庭学習の習慣をつけたいなら、まずは音読から。その積み重ねがいつかどこかで実を結ぶはずです。
今日はこのへんで、おしまい。